季節のページ

季節ごとの植物や風景など、出会った喜びを残したいと思います。


2010年 やっぱりサンマは富士に限る

去年は秋にうまくタイミングが合わず、恒例のサンマパーティの機会を逃したのは何としても悔やまれた。あの目黒のサンマも当時は旨かったに違いないが、今では無理だろうなぁ。旬の脂ののったサンマを炭で焼いて喰うには、まず煙を気にせず調理できる環境が必要なんだ。となればやっぱりサンマは富士に限る…

今年は早くから計画を立てた。忙しいスケジュールでもその気になれば何とか隙間を見つけられるもんだ。宮本くんとみどりちゃん、それに義弟のサンマ仲間が山荘に結集することになったのは巷の連休が終わった10月12日だった。

前日のマチネを終わらせて僕は急いで山荘へ向かった。張り切って車に乗り込んだヴィヴォだが、さすがにだいぶ歳を取って車に乗りさえすればすっかりおとなしくなった。レミが元気だった頃は車の後ろの彼ら専用スペースは、押し合いへし合いの大騒ぎだった。

山荘に先に着いていた義弟がすっかり準備しておいてくれたから、着くなり豪華な夕餉になった。

マグロの赤身の刺身。50も半ばともなればトロよりヘルシーかな。

茄子焼き。皮のままだからジューシー、茄子の一番うまい食べ方の一つ。

鍋の中では巨大な豚バラブロックが大根、エリンギとともに昆布だしで煮えていた。これにキムチが入れば完成。

肉は脂身と肉の層が三段階、赤身、中トロ、大トロという感じ。煮ながら丹念に脂を取ってあるから、脂身といっても余分な脂は抜けて意外にあっさり、とろりとろける食感は最高だ。
刺身と茄子でビールが数本空き、完成した豚キムチ煮でさらに本数が増す。キムチのみならず加えられた唐辛子とニンニクのパンチが効いて、ビールとの相性がやたらにいい。初日から盛大に喰い飲んだ。
翌朝はヴィヴォを連れてようやく明るくなり始めた5時半過ぎに散歩に出る。朝焼けが鮮やか。今日は宮本くんとみどりちゃんが来てサンマを焼くんだから、お天気はよくなくちゃいけないんだ。この朝焼けなら大丈夫だな。
夏と違って明るくなるのも遅いし、6時近くなってもまず人がほとんどいなくて静かだ。こんなときは何か野生の住人に出会うことも多い。道が交差するときや曲がるときはそこに何かがいることがあるから心積もりしていくんだが、実際に出会ったときはやっぱりびっくりする。今回はそれでも何とか写真に収めることができた。薄暗かったし距離もそこそこあったから鮮明な画像にはならなかったけど、鹿が3頭こっちを見ているのが何とかわかる。彼らが走り去ったすぐあとにもう3頭が右側のヴィヴォの写っているすぐ先から走り出てきて道を走り、左の林に入っていった。ヴィヴォがあとを追ったが追いつけなかった。
今年は季候のせいか茸がやたらに目に付く。松茸が例年より遙かに豊作だそうだが、この辺りの茸も今まで見たことのないものもあって種類が多いのに驚く。だけど毒のあるなしもわからないから手は出せない。
秋は木々の色が鮮やかだ。くすんだ緑に赤や黄色や紫や黒のはっきりした色が浮かび出る。
朝食後、僕は来年1月のオペラシティで取り上げる『浄夜』について考える。あの詩に出てくる男女について、また情景について、時代の状況について…
イメージを膨らませつつスコアを眺め音を聴く。うーむ、深いなぁ。

いろいろ幻想的な世界に思いをめぐらせていたらみどりちゃんからメールが入った。もう山中湖まで来ている。よし、それじゃこっちも出かけよう。いつものスーパーで待ち合わせて買い出しだ。

明るい月や黒々と天を指す樫の木立の陰、その中での男女の会話が一気に旬のサンマのイメージに取って代わられた。これを4人で食べるのか!と信じがたいほどの食材を仕入れて帰ってきた。早速火を熾し最初のサンマが載せられた。
一昨年は脂が落ちて火が着き、かなり黒こげのサンマになった。その失敗を繰り返すまじと今回は火と網の距離を稼ぐようにした。おかげで焼き加減を下から見ることもでき、これはなかなかいい具合だ。

サンマに続くのは巨大なハマチの兜とブラックタイガーの頭付き、野菜はピーマンとトマト、ほかには茸のホイル焼き、みどりちゃんが漬けてきてくれた鶏のもろみ漬けなど。
いろいろな食材が用意され、期待に打ち震えながらビールが進む。サンマが見事に焼き上がった。

旨い!昨年の無念は今晴らされた!これこそ旬の味わい。
次々と焼いては食べ、食べては飲み、宴は果てることなく続いていく…

サンマパーティとは言っても最初がサンマでそのあとはサンマも霞むかと言うほどいろいろなものが出てくるのが我ら流。

食べるために進んで働く仲間たち…

宮本くんの薫製も今年は種類が増えた。煙もご機嫌に上がっているぞ。
いつものチーズやベーコンのほかかまぼこ、アサリのワイン蒸し、ナッツ、鴨のブラックペッパーまぶしなどが新メニュー。

宴は日が暮れても終わることなく、宮本くんの薫製もまだ煙を上げ続けていた。こうして仲のいい友達と過ごす時間がうれしい。食べ続け、飲み続け、ついに疲れて床についたのは宴の開始から11時間ほども経った夜中の2時。食べることが大事なんじゃない、飲むことが目的じゃない、こうしてみんなが楽しい時間を共有することがいいんだ。好きな食べ物や趣味の共通点がお互いを近づける。次に会ったとき必ず『あのときは楽しかったね!』と笑顔で会話することができる。サンマだけじゃない、楽しみを共有できる仲間をたくさん持っていることを幸せに思うな。

MY FAMILY &
PHILHARMONIEKAMMERENSEMBLE
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