レミくん MEMORY

1996.12.14〜2009.10.27 12年と10ヶ月余り、我が家に計り知れない幸せを与えてくれたレミくんへ…感謝を込めて

古い写真を探しながら、思い出を綴ってみたくなりました。


レミくん、おはよう!今日もいいお天気だね。
そう語りかけながら、一穂の部屋に置かれた祭壇の花の水を換え、周りを掃除するのが楽しみな日課になった。

レミくんの亡くなる数日前、毎朝目が覚めたときに不安だった。レミくんの息が止まっていたらどうしよう…でもレミくんは天国へ旅立つ一番いい日をちゃんと選んでいた。レミくんは僕が長岡へ演奏旅行に出かける前日の朝死んだ。だから僕はちゃんとその日の練習にも間に合ったんだ。

いよいよ何も食べられなくなったレミくんを病院に連れて行き、預けて帰ってきたらすぐに電話が鳴った。すぐに病院へ走った。レミくんは静かに最期を迎えようとしていた。もう何もしなくていいです。静かに逝かせてやりたい…そう言ってレミくんの手を握ってやった。まもなく安心しきってレミくんは静かに息を引き取った。眠っているようだった。

仕事に行く間は病院に預け、夕方引き取りに行った。痩せてしまったレミくんだけど、亡くなったあとの体は重くてとても一人では車から降ろせなかった。ママが帰るのを待って一緒に部屋へ運んで安置した。不審がって騒ぐヴィヴォが入らないようにガラスの戸を閉めた。ヴィヴォはガラス越しに見えるレミくんが動かないので盛んに吠える。ヴィヴォ、静かに!レミくんは死んじゃったんだ。

翌日葬儀屋さんの手配をして僕は長岡へ出かけた。新幹線が長岡に着き、バスで会場へ運ばれる。景色を見ながらはっ!とした。去年ここへ来たとき…レミとヴィヴォが一緒だったじゃないか!そうだ、車で来て会場の周りを散歩したし、駅の近くのホテルに泊まって線路脇の駐車場に停めた車に彼らは寝たんだ。

会場近くのスーパーへ買い物に行くときも一緒に行き、自転車置き場につないで待たせたんだったな。そのスーパーで買い物をして帰り道、すれ違った仲間が『黒川さん、去年犬連れてきたよね。今回は一緒じゃないの?』いや、実はね…『ごめん!何も知らなくて…』いいんだ。泣きそうな彼女の気持ちが伝わって、悲しいけどうれしかった。

長岡から帰るとレミくんはきれいな遺骨になって僕の部屋に戻ってきていた。葬儀屋さんが全て良くしてくれてあったからほっとした。ママ、ありがとう。

亡くなるときは僕と、そして最後にはママとヴィヴォにちゃんと別れをしてレミくんは遺骨になった。
我が家の中で一番片づいていてきれいな一穂の部屋。クリスマスに帰ってきた一穂が、僕の部屋のテーブルに置かれたレミくんの遺骨と写真を前にしばし黙想していた。夏休みに富士で具合の悪かったレミくんと一緒に過ごしたのが最後になった。いない間に逝ってしまったレミくんにしみじみと語りかけていたんだと思う。

お正月を僕たちと一緒に過ごし、4日に名古屋へ帰って行った。部屋の自分で作った本棚に、並べてあった本を片づけて祭壇が作ってあった。

一穂が名古屋にいる間はとかく僕が物置にしていた一穂の部屋だけど、今度はやめた。ドアは開けたままにしよう。そして毎朝の習慣が始まった。
レミくんがうちに来たとき、一穂は7歳だった。まだ赤ん坊のレミくんだけど、大型犬だから大きいや。すぐに仲良しになった。

初めての晩、その晩だけレミくんは夜泣きした。ママと別れてこのうちへ来たんだからね。淋しいよね。でも君が『このうちに来て良かったな』って思えるように僕は君を愛そう。君のママに負けないくらい。

おばあちゃんが押入にしまってあった湯たんぽを出してきてレミくんのために用意してくれた。レミくんは湯たんぽにもたれてその晩眠った。それ以来夜泣きはしなくなった。そして僕をパパと認めてくれた。

レミくんが来た翌日仕事に出かけ、帰るときに出先から電話を掛けた。あの頃まだ携帯じゃなかったな。バス停の横の公衆電話から掛けたのを覚えている。レミくん、どうしてる?『レミくん、とってもいい子よ』受話器の向こうのママの口調も良く覚えている。

小さな歯が生えてきて甘え噛みをする。でもそれはいけないって教えなきゃ。だって大きくなってからじゃだめなんだ。大型犬ははじめが肝心。人を噛むことは絶対いけないって教えるのは主人の義務だし、自分や家族を守るためにも、そしてレミくんを悪者にしないためにも大切だ。優しく、だけど厳しく、僕が最初にレミくんに教えたことがこれだった。
真っ黒なレミくんは写真に撮ると黒い固まりにしか写らなくて、目がどこにあるのかもわからない写真が多い。あの可愛かった頃の写真が意外に少ないなぁ。古い写真を探してみているんだけど…

まだデジカメじゃなかった頃だから暗い室内ではうまく撮れなかったしな。
今となってはほんとに貴重な写真になった一枚。
それに大きくなるのが早いんだ。あっという間に顔も長く精悍な表情になっちゃう。一穂が絵を習っていた頃描いたこの絵、もうだいぶ顔も長細くなっているな。このころはほんとに一穂とレミくん、仲良しだったよね。どっちがお兄ちゃんかわからないみたいだった。
千葉のおじいちゃん、おばあちゃんのうちへ行ったとき、レミくんを枕に絵本を読む一穂。いきなりほっぺたを舐められて…
体はずいぶん大きくなったけど、まだまだ赤ん坊だね。

つづく
MY FAMILY &
PHILHARMONIEKAMMERENSEMBLE