乗馬日記
夢だった乗馬…ついに現実に!富士の山荘の直ぐ近く、Paddy Fieldに入会。


2008年10月23日 新たな壁に向かって

夏休みが短かった今年は、去年のように乗馬三昧とは行かなかった。休みの間にわずかに乗りはしたけれど、競技会前からのスランプはまだ解消しないままだ。去年の夏は無心に乗っていた。どんどん走って、リードチェンジやストップも積極的にやっていたんだ。でも今はまず走らせることに苦労する。脚がうまく使えなくて、駈歩のリズムに自然に乗れていない。それになんと言っても馬の気持ちが読めない。いや、反対に馬にこちらの気持ちを読まれているのかな。『こいつ迷っているな』って・・・

そんなことを頭の片隅にいつも思いながら、秋口の忙しさに追われて2ヶ月以上もパディにはご無沙汰だった。前日軽井沢のレストランDolceティータイムミニコンサートを終えてほっとしたところで、遅くに山荘に着いた。翌朝秋の彩りも鮮やかになったパディに行くと、いつものように明るいスタッフのみんなが迎えてくれた。

高橋師匠はまず僕にネリー、ママにファドを指名した。冬毛が伸びてきてふんわりした手触りのネリーにブラシを掛けていると、暖かい彼女の体温が伝わってくる。初めてパディに来たとき、何も知らない未経験の僕を乗せてくれたのがネリーだった。以来、ずいぶんたくさん乗せてもらっているね。今日は久しぶりだけどよろしくね。

並歩で蹄跡を回りながら、このところ仕事でだいぶダメージのひどい左の肩をほぐしていると、気持ちもゆったりとした休日モードになってくる。少しなじんできたところで軽速歩にした。師匠が見ていて、鐙の長さが合っていないようだからと調整してくれた。軽速歩の立ち方がやや不十分らしい。鐙がきちんと踏めていないで脚がふらついているような指摘を受ける。もう少しちゃんと立った方がいいのかな。軽速歩は正反撞に疲れたとき反撞を減らすためくらいにいい加減にやっていた。
ママはファドと相性がいい。やはり久しぶりだから始めしばらくはお互い様子を見ていたようだけど、すぐにいい感じになった。何かの指示を仰ぐため何度か師匠のところで立ち止まったら、それが癖になって師匠の近くまで来ると止まろうとする。師匠は、ファドが止まろうとする前にきちんと推進の扶助を出して止まらせないようにと指示した。

カーブで外へふくらむことがある。そのとき手綱で内側へ引くと首だけが内側を向いてコースは修正できない。師匠によれば、両方の手綱と脚を使って外側の壁、推進、方向指示をしないといけない。向きを変えようとして片方の手綱だけを引いてもだめらしい。
馬の場合、馬を動かすのは馬自身ということが機械と違うところだ。つまり馬の意志というものが間に挟まって、馬がこちらの意図を理解してそれに従う気になってくれなければ動かせない。馬は我々より遙かに力が強いから、力ずくで従わせることはできない。それでも手綱を引いて首を横向かせるくらいはできる。でもそれでは馬がこちらの意図を理解できない。『そちらへふくらんではいけない』『進む方向はこちら』『前へ』・・・といったこちらの意図は、馬がそれを理解できるように一つ一つ状況にあった適切なものを出さなければいけない。

馬は基本的にこちらの意図を理解しようとしていると思う。だからうまくいかないときの大方は、こちらが意図をはっきり伝えられず、馬が今何をすべきかが理解できていないという状況だと思う。馬も褒められればうれしいし安心する。どうしたらいいのかわからないと不安になり、益々頭が混乱してときにはパニックになる。馬がこちらの意図を理解しようとしているということを信じて、こちらはわかりやすくはっきりした表示をすべきなんだ。それも細部に渡って注意深く。
ネリーはよく走ってくれたが、時々僕の脚のタイミングが悪いと駈歩をやめてしまう。僕にはまだ一定のペースでリズムをとり続けることが難しい。もうずいぶん長く駈歩の脚では悩んでいる。どうしてもかなり意識していないとタイミングが逆さになってしまうんだ。去年盛んに乗っていたときは何も考えていなかった。あのときはどうしていたんだろう?『去年はやっぱり逆さになっていましたが、それでもよしとしていたんです。それから脚がかなり外へ開いていました。今はずいぶん改善されています。後退はしていません。次のステップへ行こうとしているんですよ』

師匠の言葉に大きな勇気をもらった。そうなんだな、わからないうちは怖いもの知らずと言うことがある。わかってくると新たな難しさに気付くんだ。
いろいろ考えながら一鞍乗って昼休みにした。一旦山荘に帰ってお昼ご飯を食べ、午後またパディに来た。お天気は崩れる予想だったけれど、まだ大丈夫そうだ。
僕はバーニー、ママはココペリに乗る。最近よくある組み合わせだ。バーニーは最初乗ったときはその細かくて堅い揺れについていくのに苦労した。でも最近は乗りやすいと思うようになった。同じアパルーサのジェリーに乗って以来、だんだんアパルーサの積極的な走り方が好きになってきた。

バーニーは前にママが乗って見事にリードチェンジをやっていたことがある。やってみようかな。小さめの輪乗りをしながら左回りから右回りへ切り替えようとした。それまでまだ左回りしかしていなかったからちょっとあわてたのか、うまくいかなかった。速歩にしてから右手前に直し、しばらく右回りの駈歩をする。そろそろいいかな。思い切って左手前に切り替えたらうまくいった。数回左右の切り替えを試す。だいたいできるようになったが、右から左の方がスムーズなようだ。師匠はどう見てくれただろう?『右から左はとてもいい感じです。左から右は少しあわてているみたいで、チェンジのあとすぐに方向を右に曲げています。もっとそのまま直進させてください』

リードを変えてすぐに曲がるのはいけないというのは前にもしばしば注意された。リードチェンジと方向を変えることは別だということをはっきりさせないと.。リードチェンジ=方向転換という理解に繋がってはいけないんだ。このことに注意しながらやってみる。
今日比較的チェンジリードがうまくいったのは、重心の移動がはっきりできたからかな。輪乗りのときは重心が外側にあり、おもに内方脚で推進する。いよいよ今度チェンジというときに重心を入れ替え、それまでの内方脚を外方脚として馬体につける。バーニーはよく反応してくれたと思う。

『バーニーにしたら今日はずいぶんリードチェンジがうまくいっています』そうですか、バーニーならチェンジリードができると思ってやってみたんですけど。『バーニーは必ずしもまだチェンジリードは完全じゃないです。今日はとても良くできた方ですよ』そうか・・・ちょっとうれしかった。久しぶりにチェンジリードの感触を味わった。自分自身が乱れないようにということも今日はよかったかな。
いい感じに乗っていたんだが、ちょうど8の字の真ん中へ入ろうとしたらママのココペリと一緒になったので、いいや、蹄跡を回ろうとコースを変えた。速めの駈歩で蹄跡をひとまわりしてゴールドラッシュの側からパイナップルハウスの方へ向かうあたりからさらにスピードが上がってきた。だいたい輪乗りは落ち着かせようとしてスピードを抑えるときにさせるから、バーニーも直線的な駈歩より自然にスピードが落ちる。だから逆に蹄跡を直線的に走ればややスピードが上がるものだと思って特に気にしなかった。

丸馬場の近くまで来て左へ行かそうとしたがなんだかそのままつっこむ気らしい。おいおい、ちょっと待ってくれ!仕方なく手綱を引いて止めた。結構ぎりぎりだったが、無事に止まった。ちょうど師匠がゴールドラッシュから出てきてその様子を見ていた。『大丈夫ですか?』大丈夫だけど、なんか曲がる気も止まる気もなかったみたいでした。

『バーニーは以前スライディングストップを練習していたことがあるので、直線になったときにそれを思い出したのかも知れません。そんな感じの走り方でした』
結構きつい訓練だったのか、バーニーにはあまりいい思い出ではないのかも知れない。『うまくいけば褒められるんですが、しくじってフェンスにつっこんだときとごっちゃになってどうすれば褒められるのかがわからなくなっているかも知れません』

あのままつっこまなくて良かった。まだこちらの指示に反応して止まってくれたが、もっと混乱していたらどうだったかわからない。

このことのあと、ちょっと駈歩がしにくくなった。左回りはどうしても首を曲げて走りたがらない。仕方なく落ち着かせようとゆっくり並歩で蹄跡を歩かせた。だいぶ落ち着いたかと思ったが、それでも左をいやがるので右にしたらそちらはなんとか駈歩ができた。
ママはココペリがときどき後ろ足を跳ねるような動作をするが落ち着いて乗っている。ママはやっぱりブリティッシュがやりたいらしい。パディでも少しずつブリティッシュを復活するらしいから、楽しみだね。だけど師匠やちんさんがブリティッシュのスタイルで乗る姿は想像しづらいなぁ。

ママはご機嫌でこの鞍を終えた。僕は始めいい調子だったけど、途中から崩れた。バーニーもいろいろ考えているんだろうね。馬も考え、僕も考える。一体となるまでにはまだお互いの考えが理解できる距離に近づいていないようだね。

雨が降ってきて今日はこれまで。12月にパディのコンペがあるから是非参加したいと思っている。でも11月は無茶苦茶に忙しいから、練習に来られるかなぁ。
翌日は朝から一日雨が降り続いた。できればコンペに向けてトレイルの練習もしたいと思ったけれど、この天気じゃ無理・・・来週もう一度来られるからよしとしよう。久しぶりの乗馬、新たに壁に向かっているが、壁は越えるためにある。
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