乗馬日記
夢だった乗馬…ついに現実に!富士の山荘の直ぐ近く、Paddy Fieldに入会。


2008年11月25日〜12月6日 新たな出会い 第2回パディコンペに向けて

12月6日土曜日にパディのコンペがあるから出ませんかという誘いを受けて、急いで予定を調べてみたら・・・その日は第九の出番になってるから出られないや・・・とがっかり。するとそこへオーケストラの同僚から電話があって、前日の千葉のコンサートと代わってくれないかと言ってきた!もちろん交代を了承した。コンペに出られることになっちゃった。さてそうなると練習をしなきゃならないぞ。

だいたい今まではたまに一人で抜け駆けすることはあっても大方はママと一緒に来ていた。パディには夫婦で会員になってる方が何組かあるが、うちもそうで、普段は一緒に来て楽しむことにしている。でも今回はママは当日の予定がぎりぎりまで立たず出場は断念した。『だからパパは一人でできるだけ練習に行っていいわよ』ママがそう言ってくれた。あらためて予定表を見ると11月末から12月はじめは結構休みが多い。ちょうど冬の水抜きが必要になる時期だからなるべくは連続で山荘にいられたらいいな。

11月の定期関連のコンサートがあと2回残ってはいたが、とりあえず忙しかった11月の仕事は23日に一段落した。24日はレッスンをして夕方レミとヴィヴォを乗せて山荘へ向かう。ここから僕の長い合宿が始まった。
25日、まずこの日はうれしいことが一つ、新しい鞍が来たんだ!実は前から憧れていた自分の鞍をついに手に入れた。11月前半にパディのオーナーのちんさんがアメリカへ競技会を見るツァーで出かけた。それで本場で欲しいものをみんなが頼んで買ってきてもらった。僕は一番大きなものをお願いしてしまったが、ちんさんはすばらしい鞍を選んで持ち帰ってくれた!高橋さんが持ってきてくれたのを見た時は思わず手でさすってしまった。あぁ、僕の鞍だ・・・

新しい鞍の初乗りはネリーだった。パディに来て最初に乗ったのはネリーだったな。あれから2年2ヶ月、ずいぶん乗れるようになってついに鞍まで手に入れた・・・感無量。慣れない鞍だからまだ鐙がいい位置に来てくれなかったりはしたけど、とにかく自分の鞍だと思うとうれしかった。一鞍を終えて鞍をはずす。あぁ、もうこんなに泥だらけになっちゃった。でもこうしてなじませて使い込んでいくんだ。
二鞍目の前に高橋さんが今度のコンペに乗る馬について希望を聞いてくれた。『今回はパディでのコンペなので移動がないからどの馬でもいいです。前にジェリーでトレイルをやってみたいと言っていましたがそうしますか?』え、ほんとに!?ジェリーでやらせてもらえますか?

ジェリーは若いアパルーサの牝馬で、まだ競技に必要な技術はほとんど何も知らない。だけど前にジェリーに乗った10月末、初めてログを越えたりゲートを通るのをやってみたら案外抵抗無くできた。なんと言っても素直な性格がとても好きだったから、一緒にいろいろなことをやってみたいなぁと思っていたんだ。

大方の意見は、ジェリーはあわてん坊だからトレイルは難しいだろうということのようだった。確かにどの歩様にしてもペースが速いし、特に駈歩は勢いがある。でもこの駈歩のおかげで夏以来のスランプから抜け出せたんじゃないか。僕にいい駈歩の乗り方を知るきっかけをくれたんだ。今度は僕が一緒にトレイルを練習して、ジェリーもトレイルができるって認めてもらおうよ。
ジェリーで競技に臨むについて高橋さんはグリーンホースクラスという初めて競技会に出る馬のためのクラスに出るようにと言った。『ジェリーにはとにかく落ち着かせること、何度も繰り返して時間を掛けることが必要でしょう。何年もかかりますよ』と言う。そうかも知れない。でもジェリーがいつも新しいことに興味を持つこと、怖がらずに前向きに臨むこと、性格が素直なこと、さらに学習能力がかなり高い頭のいい馬だということが僕には感じられて、きっとできると確信していた。もちろんまだ経験の浅い僕にはわからないことが多い。難しさに出会うのはこれからだ。

カオリンさんははじめからジェリーと僕のコンビに期待して見てくれていた。何かうまくいかずに苦労していると一緒に考えてくれた。前回ジェリーが初めてゲートをやった時の写真を撮ってくれたのがカオリンさんだけど、そのとき『ジェリーがゲートできた!』ととても感激してくれたのがうれしかった。

練習初日はまず3鞍、スラローム、ボックス、ゲート(グリーンホースはロープの掛け外しはなくログをまたぐだけ)、ログ越え(駈歩で進入、途中で速歩に落として一回りして反対に抜ける)などを練習した。どういう風にコントロールするのがいいのかはまだよくわからないけど、とにかくジェリーはどれでも一応はこなせた。大丈夫、できるね。ジェリーなら案外易しいんじゃないかな・・・
26日は朝6時頃、暗い中を山荘から東京の家に向かう。多少の渋滞はあったが9時前には着き、昼過ぎまでゆっくり休んで仕事に出かけた。チョンさんの指揮とジメルマンピアノで先週から続いている定期のシリーズも今日が済めばあと一回だ。

ほんとは明日明後日の二日間はママも一緒に来るはずだった。でも珍しくママは体調を崩したので家で静養することにした。ママを置いて出かけるのは気が咎めたけれど、コンサートのあと家に戻るとすぐにまた山荘へ。山荘は玄関の電気も点けておいたし水抜きもしていないから楽だ。

27日、28日は雨のあとのぐちゃぐちゃした馬場で泥を飛ばしながらの練習になった。バック、駈歩発進、ログ2本をクロスに置いたのを駈歩で越える、ボックスの中で回転、ブリッジ越えのほか、サイドステップやゲートでロープの掛け外しもやってみた。

ログ2本分の高さを、はじめは並歩で、次に速歩で越える。ジェリーは初めてのことでも怖がらずにしっかりやる。それじゃぁ今度は駈歩だ。方向を定めてまっすぐに進めると思い切って飛び越えた!ときには歩幅が合わなくて速歩に落ちたりすることはあっても、飛び越えることを拒否することは一度もない。すごい、ジェリー、偉いね。
バックはなかなかまっすぐに下がるのが難しい。どうもジェリーは左へ流れる傾向があるな。なぜかだんだんログの方へ寄っていって踏んづけちゃったりする。左の脚で修正しようとするんだがなかなか効果がない。師匠が向こうの方で腕組みしてじっと僕たちの様子に目を光らせている。

このバックは、今度のトレイルのパターンでは写真の左方向から速歩で接近して停めバックで入るんだが、最初はとてもうまく入れられないから反対側から前向きに進入して停止、そこからバックを練習した。

何度か繰り返し練習する。手綱の片引きや重心の偏りなど、ジェリーの左流れの原因は僕にもありそうだ。
ボックスは初めてのジェリーだけど、何しろ小さいから小回りが易しい。回すことは前から何も囲いのないところではよくやっていたから特に難しくはなかった。

ブリッジも初めてで、馬によっては怖がってなかなか乗りたがらないこともあるが、ジェリーは全く動じない。ドスドスと足音させて越えていく。
この二日間でずいぶんいろいろな競技技術を練習したが、いずれもジェリーにはそれほど難しそうな感じはしない。何でもやってみようという積極的な姿勢があるからどんどんできていく。なんで師匠やほかの人たちも『ジェリーはあわてん坊だから難しいです』って言うのかなぁ?僕には彼女があわてん坊だとは思えない。性格が素直で、積極的で、しかも頭が良くて学習能力が高い。ただ気持ちが先走って落ち着かない時があるんだな。僕がそういう時もゆったり構えて落ち着くまで待ってやれば、じきにじっとしていられるようになるさ。

ジェリーに乗っている限り駈歩が出ないで困る心配がない。そのかわり発進の合図が強すぎたら立ちあがらんばかりの爆発ダッシュになっちゃう。だからほんの触るかどうかくらいのかすかな外方脚と聞こえないくらいのキスの音にするんだけど、ジェリーは僕が駈歩発進をしようかなと思っただけで察知して『いちについて、よーいっ・・・』と構えちゃうんだ。これは何とかしなきゃいかん。

僕はまだ駈歩の手前が読めないで、師匠から『逆手前です!』と言われないと気がつかない。逆手前の揺れは合ってる揺れとどう違うんだ?だいたい逆のときはすぐ指摘されて直すから特徴が掴めないんだよね。これは僕には大きな課題だなぁ・・・ほんとにわかるようになるんだろうか?

山荘へ着く頃ちょうど富士山が夕陽で赤くなっていた。雲がかかってきれいだな。
冬は日が昇るのが遅いけど、特にこの辺では山に邪魔されてなかなか太陽は顔を出さない。早朝山荘を出て家に向かう途中、7時少し前に雲の中からようやく朝日が覗いた。チョンさん指揮の定期の最終公演が30日にあって、メインの曲はこのシリーズですでにやったマーラーの交響曲第4番だけど、この公演だけの曲が1曲入っていて29日はそのリハーサルがある。しかも出かける前に家でチェロの生徒を二人レッスンしなきゃ・・・なにしろこっちも忙しいけど生徒も忙しくて週末しか来られない。

山荘にいてパディのほかは河口湖のスーパーに買い物に行くくらいしか出かけないと、会う人の数が馬の数とどっちが多いかというくらいだ。ここ数日に会った人の数より多くの人がリハーサル室にぎゅうぎゅうといるなんて・・・

でも音楽はとても新鮮に感じられていい。やっぱりひたすら音符と戦っていてもこんな気持ちで音楽はできないな。音楽がまるで心を映す鏡のように、映像を見るようにイメージ豊かに感じられるんだ。
30日のマチネを終えて山荘に戻った。12月に入り1日からの3日間、コンペに向けていよいよ本格的に形を作っていかなきゃ・・・

こちらでの生活は至って単純。朝は5時過ぎにまだ真っ暗だけどヴィヴォが起こすので起きる。まず部屋を暖めて着替えたら夜の食事の仕込みと昼の弁当を作る。明るくなったらレミとヴィヴォを連れて散歩に行く。この季節、山荘周辺にはほとんど人がいないので、レミたちも自由に駆け回りながら僕の歩くコースをついてくる。ときどき鹿や猪の足跡がある。このところこれら野生動物が増えていて、樹海から駆け出してきてあわてて引っ込んだ鹿や、道を横断して樹海の中をうろうろする100キロはありそうな真っ黒な猪を見かけた。車との事故も多い。特に夜は夜行性の彼らの安全のためにゆっくり走らないといけないんだ。

僕は普段東京にいる時の食事は魚か鶏が多いのに、こちらでは一日体を動かしているから豚肉が多い。それに寒いから鍋だな。大根と豚肉、キムチの鍋は僕の得意料理、27日にふと思いついてパディで作ってみんなで食べたが好評だった。

コーヒーを淹れ朝食のトーストを食べながら、4月から始めたラジオのイタリア語講座の復習をして、10時前ににパディへ向かう。途中の見晴台から朝の本栖湖と南アルプスが毎日表情を変えて見える。午前2鞍、弁当を挟んで午後2鞍で4時半くらいに山荘に戻る。風呂に入り暖まって、洗濯機を回しながら夕食の支度をし、ストーブの前に洗濯物を干して食事が済んだら寝る。早い時は7時半、遅くても9時には布団に入っている。実に身体にあったいいペースなんだ。
パディではコンペが近くなり準備が始まった。ログやブリッジの回りを飾る花をひささんとくまさんが用意している。高橋さんはゲートやくろべえの囲いのペンキ塗りをしている。みんなが普段以上に楽しそうに仕事をしていて、何となくイベントが近いという実感がわいてくる。

馬場にはパターンが組まれ、それぞれの技術を練習しつつ配置や順番を頭に入れる。僕はもうパターンは覚えたから大丈夫。この前はまだできなかったバックの入りもできてきた。駈歩のスタートはまだやや爆発だな。クロス越えは駈歩を維持するために脚で煽りながら行く感じが掴めてきた。速歩や並歩に落とすのもだいぶタイミングが取れてきた。ジェリーは3鞍目4鞍目あたりになるとだいぶ落ち着いてくる。じっと止まっていることもできてくる。本番のときはそんなにくたびれるほど時間を掛けられない。どうやって落ち着かせたらいいんだろう?
スラロームは3本のログを速歩でS字を書いて越えていく。そんなに難しくないがペースが速いのをもっと押さえなきゃ。それにときどき蹴躓く。ほら、もっとよく見て!

下はバック。入るのも何とかできてきた。まだじっと停まっているのは難しいから位置がだいたい良ければ流れで入ってしまう。数回やったらジェリーは覚えてすっと入るようになった。
バックのあと駈歩でスタート、クロスを駈歩で越えたら速歩に落としてログを3本越える。そのあとすぐに並歩に落としゲートへ。この辺りの流れももうジェリーは覚えたみたいだ。とにかく学習能力はすごい。

ゲートを通ったら右に折れてブリッジ越え。はじめの2本のログは上手に見て通る。ブリッジの上は少し手綱でゆっくりにしてやらないとすたすたと2歩で行ってしまい下りる時にログを飛び越えてしまう。ブリッジで3歩になるようにしてやるとちゃんと間に手をつくようになった。下の写真は実は連続していない。はじめの2枚は続いているがブリッジの上は2歩で行ってしまって、このあとは大きく踏み出してブリッジとログの間は飛ばしてしまう。3枚目はうまくいった時の下り方。でも前の写真とは手前が反対になっている。
一度パターンを通してやってみた。いかにもジェリーは楽しそうにすたすたとやった。ジェリーらしくていいかなと思った。バックのあとの駈歩発進はやや爆発。クロスを越える時駈歩が速歩に落ちた。そのあとも速歩が並歩に落ちるのが早すぎた。ブリッジのあとの駈歩も爆発。ボックスに入る時は並歩に落ちきらずに速歩のまま進入した。

高橋さんの評は厳しい。『すべてが焦っている印象で、もっと落ち着かなければ全然だめです』高橋さんの『全然だめです』はこたえるなぁ・・・せっかくジェリーが一生懸命にやってるのに・・・でもトレイルという競技は馬が従順にこちらの指示に従うこと、何より落ち着いた動作をすることが大事なんだな。ジェリーがいい馬になるのに必要なこともまさにそれなんだ。
駈歩の発進とペースの安定がジェリーの課題。また僕には脚の使い方やリズムの取り方が課題だ。そして手前を読むこと・・・でもこれは少しわかってきた。まず左手前がはっきりしてきた。左の腰が前へ放り出されるような感じがする。小さな輪乗りを繰り返しながら脚でリズムよく安定した駈歩を維持しつつ左手前の感触を確実にしていくんだ。

今まで手前が合っているか逆手前かというとらえ方をしていた。でもどうやら自分の頭の中で『合っている』か『間違っている』かは区別が難しかった。それより『左手前になっている』か『右手前になっている』という区別に考え方を変えたらなんだか整理されてわかりやすい。右手前なら右の腰が前へ放り出される感じになる。そういえば昔見たローハイドやララミー牧場なんかでカウボーイが馬に乗って走っている時になんか斜になっていた印象があるな。

小さな輪乗りのときは内方脚で推進をしながら外方脚は輪が外へ膨らまないように押さえている。ジェリーの駈歩にはずいぶん慣れたからとてもやりやすい。
練習の最終日3日を迎えた。今朝は冷え込んだ。散歩に出ると辺りが霜で真っ白だ。零下6度、こちらへ来て一番冷えた。

昨日はコンペ当日にジェリーをどうやって落ち着かせようか考えていた。いつも練習を終わる頃は汗をびっしょりかいて疲れすっかり落ち着いている。でもコンペではそうはいかない。せいぜい1時間くらい慣らせる程度だろうな。とても疲れるなんてことはない。パターンの中では右手前駈歩が2カ所ある以外左手前駈歩はない。右手前でできるだけ走らせておこうか・・・

でも今朝起きた時に別の考えが浮かんだ。ジェリーは駈歩が好きだ。だからちょっとくらい走っても負担にならない。それより走らせずにひたすらゆっくりに押さえた方がいいんじゃないか。走れば当然テンションが上がる。ゆっくりにして集中力を高めるようにしてみたら・・・
もう一つ考えがあった。ジェリーはものすごく学習能力が高い。何でもすぐに覚える。ジェリーが焦っているように見えるのは、一つにはこちらの合図より前に次のことをしようとするからだ。それをこちらが押さえようとするから余計に落ち着かなくなる。ジェリーはおそらく僕と同じにパターンをすっかり頭に入れているんだ。だからバックが終わったら『さぁ駈歩でしょ!』という構えになる。ブリッジのあともそうだ。

賢さんの『馬の頭の裏をかけ』という言葉を思い出す。そうか、ジェリーに次は何をやるか先回りさせちゃいけないんだ。『次はどんな合図が来るかわからない。いつも集中していなければ!』と思わせることだな。方針が決まった。今日は徹底して落ち着かせること、駈歩は最小限にしよう、そしてパターンはやらずジェリーの予想に反する指示を出そう。
霜に飾られた植物を見ながらきりっと冷たい空気の中を散歩して帰ってきた。熱いコーヒーを飲みトーストを食べてパディへ。さあ最後の仕上げだ。

すっかり僕になついた感じのジェリーだが、僕もジェリーが相手だととても安心する。顔を抱え込むと僕の胸にぎゅっと押しつけて甘えてくるんだ。

今日ははじめからゆっくりのペースに徹した。いつもよりたくさん並歩をし、ログやブリッジを順番構わずゆっくり越える。速歩もできるだけゆっくりに押さえた。パターンには全く従わず、特にパターンで駈歩をするような場所では長く停止したり反対方向へ並歩や速歩をさせた。ボックスはまず大きい囲いの中でじっとしていられるようにした。何事もないことがわかって安心するまで中でじっと待った。続いて小さいボックスでも同じことをした。回ること自体は難しくないので、じっとしていることができたらそのまま出た。
バックの入りだけがなぜかできなくなってしまった。所定の場所へ行くと落ち着かずふらふらと移動してしまう。だいぶ苦労してやってみたが、ジェリーは何かを気にしていやがっている。とうとう師匠に助けを求めた。高橋さんは代わって乗るとジェリーを何とか所定の位置まで誘導し静止させた。『ジェリーはその場所を見ようとしています。だから見えない方向を向かされるのをいやがっています。右の手綱を引いて顔を反対向かせ脚でお尻を押し込みます』3回繰り返してジェリーを返してくれた。ジェリーが静止し褒めるのに高橋さんは首筋ではなくお尻をなでた。『首筋をなでるために前に体重がかかるとジェリーが前進するものと勘違いするかも知れないから、お尻をなでて重心を後ろにしたんです』なるほど・・・教えられたようにやってみると何とかできるようになった。

あとは駈歩の発進か・・・ごく小さな輪乗りで発進させゆっくりの駈歩をさせた。爆発ダッシュはだいぶ制御されてきたようだ。

ジェリーにとってはストレスの多い今日の練習だったかも知れない。でも以前のジェリーからは見違えるほど落ち着いた馬になったと思う。パディに練習に来たのはとびとびで6日間、20鞍余をジェリーと練習した。もうこれで本番を待つばかり。やれることはやったと思う。ジェリーもよく頑張ったよね。本番は楽しくやろうな。
4日はオーケストラのリハーサルがあったが、ついでに事務的な用事もいくつか済ませ、本番ではくズボンを買いに行き、床屋へ行って髪と髭をさっぱりした。5日、本番前日は千葉で本番があった。終わってまた夜中に山荘へ来た。競技のあとにパーティがある。きっとみんな冷えているだろうから暖かい鍋物を差し入れようと、得意の創作料理、大根と豚バラ肉のキムチ煮込みを夜中に仕込んだ。起床時間までどうせあと3時間くらいだから、鍋をストーブに乗せて寝た。5時半くらいに起きて鍋に最後の味付けをして完成させる。そうだ、夕べ一穂から激励のメールが来てたが遅くなって返信できなかった。急いで返事を書き、明るくなったところで散歩に行く。富士の雪煙が向こう側に隠れている太陽に光って浮き立って見える。寒い中カメラを構えて日の出を待っていると一穂からまたメールが来た。『今朝は日の出の瞬間を写真に撮ったよ』そうか、とーちゃんの大事な日に日の出を見てくれたんか!うれしいね。今日は絶対いい日になる。
9時ちょうどにパディに着くとたくさんの車がすでに止まっていた。馬運車も数台停まっている。天気は快晴だ。まず鍋を厨房に運ぶ。ちんさーん、差し入れです!

高橋さんを中心にスタッフがパターンのログの位置を計って正確に置き直している。あちこちに薪ストーブが置かれ、ほかのクラブからの参加者やご家族が手を炙っている。ご夫婦で参加される道白さんや新会員の望月さんも馬や鞍の準備をしている。僕も鞍を車から降ろして馬繋場に持っていく。

ジェリー、おはよう!ブラシを掛け鉄爪で蹄に詰まったボロやおがを取る。今日はできるだけ僕自身落ち着いていようと努めた。さぁ、やるぞ!という意気込みを持たないで、ゆったり、のんびりしていよう。

ゆっくり準備して馬場に入る。ジェリーに乗ると、まずゆっくり並歩だ。自分の頭の中でパターンの復習をしたら一切パターン練習はしない。部分練習はなるべくパターンが見えないように一つずつ分離して練習する。特に駈歩のスタートは実際にやる場所とはかけ離れた場所でやり、2度同じ場所ですることも避けた。ジェリーは特別な雰囲気にも動じず落ち着いている。いい感じだ。

やや歩調が乱れる心配はあったけれどあとは本番の集中に賭けることにして時間までひと休み。

10時半、いよいよ競技が始まる。実はこの日のために衣装を新調した。それを本番まで見せないように上に別のシャツを着込み、襟も隠していた。急いでそれらを脱ぎ、ジェリーとともに馬場に入った。(いよいよ本番へ続く)
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