乗馬日記
夢だった乗馬…ついに現実に!富士の山荘の直ぐ近く、Paddy Fieldに入会。


2008年12月7日〜11日 余韻、そしてこれから

コンペが終わって一つの区切りがついた。参加した方の大半は打ち上げのあと帰っていった。応援に駆けつけてくれたママも、翌日の仕事があるので夕方暗くなって赤いミニで帰っていった。残ったのは遠方から参加してくださったほかのクラブの方々が数名、パディに泊まっていらした。翌朝、疲労は少し感じたけれどとても満たされた気分で目覚めて、いつものように晩ご飯の仕込みをしてから明るくなったところで散歩に行き、朝食を済ませて出てきた。イベントが終わった静けさが馬場にあった。

おはようございます!スタッフはみんな疲れた顔も見せず笑顔で迎えてくれる。昨日はお疲れさまでした。ほんとに楽しかったしいい結果も出せて満足です。ありがとうございました。みんなと次々言葉を交わしているとジェリーが牽かれて出てきた。ジェリー、おはよう!昨日は偉かったね。

平らな額をごしごしこすってやるとジェリーはうれしそうに僕に甘えて顔を寄せてくる。抱え込むようにして頬骨の辺りをなでる。ジェリーは僕の胸に鼻を押し当てて匂いを嗅ぐ。このところ僕とジェリーはこんなスキンシップでお互いに気持ちを通じ合わせているんだ。

ブラシを掛け鉄爪で蹄に詰まったボロとおがをほじくってやる。たてがみや尻尾が昨日のリンスのおかげでさらさらしていい匂いがする。鞍を載せ馬場に牽いていき腹帯を締めてさっと乗る。静かな馬場をゆっくり並歩で歩く。
ジェリーもコンペが終わってほっとしたのかな。今朝はじめからとても落ち着いているね。ゆっくりの並歩と速歩を抵抗なく充分にしたあと静かに駈歩発進して広い馬場を存分に駆け回る。このところ抑えられていたからいかにも気持ちよさそうにのびのびと走る。いいよ、今日はジェリーの好きな駈歩もたくさんしような。手綱を緩めて好きに走らせてやろう。でもジェリーは落ち着いたいいペースで駈歩を維持している。しばらく走ってうぉっ!と止めそのままじっとする。よし、いい子だ。ジェリーが大きくため息をつく。そう、深呼吸してリラックスしよう。

長い間合いのあとゆっくり重心を傾けかすかに外方脚を付けて腰内をする。まだ発進の合図は出さず、手綱で前進を抑える。小さくキスの合図をし手綱を緩めるとすっと発進する。完璧な駈歩発進だ!『今のスタートはよかったです!』カオリンさんがうれしそうに声を掛けてくれた。これを徹底できたらジェリーはすばらしいよ。

今回のコンペから多くの収穫があった。そのすべてがジェリーとの信頼関係をベースに得られたものだ。ともに未熟な僕とジェリーが師匠の教えやカオリンさんの励ましに助けられながら少しずつお互いの技術を向上させることができた。僕にもジェリーにもやってみようという前向きな気持ちと、一緒ならできるという信頼感があった。
8日は浜松の第九の練習が光が丘のIMAホールであるので、朝山荘から直接そちらへ向かった。朝起きた時に何となく胃が痛い気がした。夕べ食べ過ぎたかな?高速を走りながらもずっと気分が悪く、腕や肩の関節が痛んだ。少し熱っぽいかな。練習は12時からで余裕があったから石川Pでちょっと休んでみたがあんまりよくならない。仕方なくまた車を走らせて10時にIMAホールに着いた。薬局で症状を説明すると薬剤師さんはいろいろ考えて漢方の風邪薬と胃腸薬を出してくれた。練習の間もずっと辛かったし薬の効果もあまり感じられなかった。ほんとは練習が終わったらまた山荘に戻るつもりだったが、とてもそんな元気がない。練習が終わってそのまま自宅へ戻ることにした。

今回こんなに長期間山荘に滞在できたのは、パディのコンペまでに仕事の休みが飛び飛びではあったけれど6日もあったことに加えて、ママがはじめから一緒の参加を断念して僕にできるだけ山荘に滞在して練習の能率を上げたらいいと言ってくれたおかげなんだ。その間にわずか数日ママも来られる日があったのに、たまたまそのときママが体調崩して来られなかった。また12月半ばから僕も忙しくなるから、その前にママとゆっくり過ごそうと10、11日を予定していた。それなのに今度は僕が不調だなぁ。いや、明日一日休めば快復するさ。快復しなきゃならん。それで気合いを入れて(?)9日は丸一日休むことにした。

まだ完全ではなかったがだいぶ気分もよくなったので、9日の夜にママが仕事から帰るとすぐに山荘へ向かった。我ながら無茶苦茶やってると思うが無事に翌朝は快復していた。10日朝パディへ向かうと澄み渡った空気で見晴台からの南アルプスがすばらしかった。
久しぶりに乗るママにはファドがいいね。ママとは相性がいいんだ。真っ白なファドはいつ見てもすてきだ。コンペでは道白さんが乗ってファドもデビューした。この次の機会にはママがファドで出られたらいいなぁ。

僕はまだしばらくはジェリーに乗っていたい。今とてもいい感じに乗れてきているから、もっとこの感触をしっかり身につけたいんだ。そしてジェリーの可能性をもっと掘り起こしていきたい。トレイルが得意な馬と言われるようにしたいんだ。それにリードチェンジだってきっとできる。僕自身がまだマスターできていないけど、ジェリーと一緒に練習できたらいいな。
一鞍乗ってお昼を食べに山荘へ戻った。あれ?ママが浮かない顔してる。どうしたの?どうもまた気分が悪そうだ。この前具合が悪かったのがかなり最近になくひどかったから、まだ少し後遺症があったのかな。せっかく楽しく一緒に過ごすはずだったのに・・・せっかく僕も快復したのに・・・

結局ママはまたお休みすることになっちゃった。午後はまた一人で出かけてもう少しジェリーと過ごして早めに帰ってきた。ママは少し熱もあるみたいだから、ゆっくり休んでね。少しだけお粥を食べて薬を飲んで休んだけど、明日もまだ無理かな。
11日、ママはやっぱりまだだめだ。『パパ、私は休んでいれば大丈夫だから一人で行ってらっしゃい』ママ、ごめんね・・・今日は長かった山荘滞在の最終日だから片づけもしないとならない。荷物をまとめ、風呂の掃除などできることを済ませてパディへ。

ずっとジェリーに乗っていたけれど、リードチェンジをジェリーに教えるにはまず僕がそれのできる馬で感じを掴まないとというので師匠はBJを用意してくれた。『BJにできることでジェリーに何が足りないのか、どんな練習をしたらいいのかをやってみましょう』久しぶりにジェリー以外の馬に乗るとなんだか緊張するなぁ。それにBJでさえ大きく感じる。

まずは前へ進めることからジェリーのようにはうまくいかない。まだ僕の技術は低いなぁ・・・ジェリーにしか通じない扶助じゃだめだぁ。これじゃとてもリードチェンジどころじゃないや。
高橋さんがまずは腰内を指導。外方脚を付けて前進を手綱で抑えるとお尻が横へずれる。次に並歩で腰内をしながら馬体をまっすぐになるように手綱を使うと、馬が脚を交差しながら斜めに進んでいく。左右ともできたら途中でスイッチする。速歩でも同様に練習する。

馬体をまっすぐに保つ手綱さばきがなかなかうまくいかない。片引きになって馬の首が横を向いてしまう。『両方を同じに引くように。手綱は小手先で引かず、自分の方へ吸い上げるようにします。自分の身体ごとすぅっと後ろへ引く感じです』

なかなかうまくできずにもたついているとだんだんBJの機嫌が悪くなっていくような気がする。
基礎的な練習として蹄跡を使っての腰内をやってみる。これはだいぶ以前に、それこそ駈歩を教わった最初の頃にやったことがある。これならBJでも言うことを聞いてくれた。
手綱で馬体をまっすぐに維持しながら片方の脚を付け馬を斜めに進める。それぞれの方向ができたらスイッチしてみる。このときに手綱が乱れたり歩調が崩れやすい。並歩、速歩でこれらを確実にできるように練習が必要だな。さらに駈歩でも同様に斜め進行をさせる。
なかなかうまくいかないや。BJはリードチェンジももう上手にできる馬だから、今更下手な奴につき合うのは迷惑なんだろうね。だいたいの要領はわかったからもう終わりにするよ。お疲れさま。今度は今のことをジェリーで試してみよう。
何しろこのところジェリー以外の馬に乗らなかったから緊張した。それに今の僕にはBJもネリーも苦手意識ができてしまって、これを克服するにはまたしばらくかかりそうだ。その分ジェリーとは相性が良くて新しいことでもどんどんできそうな気がする。今はジェリーと僕のコンビでできることを伸ばしていくことを先行させたいな。

高橋さんも僕がBJをまるでうまく操れてなくてもそれ以上続けさせないですぐジェリーに切り替えた。ジェリーに乗るととても気持ちがおおらかになって何でもやればできそうな気になる。少し慣らしたあとまずは蹄跡で腰内。はじめはちょっとびっくりして駆け出そうとしたけれど、手綱で抑えてやるとお尻だけすっと内側へ入れてきた。

以前のジェリーと違って何でも駆け出したいという衝動を抑えられないということがないので、今ここで何をするのかということを考えるゆとりが出てきたんじゃないかな。以前にも増して飲み込みが早くなってきた。
ジェリーは並歩や速歩での斜め進行もいかにも軽々と楽しそうにやる。僕の方は体重を片方に掛けて脚を付けようとすると、無意識に手綱が片引きになってしまうなぁ。もう少し自分の動作が別の目で見えていないといけない。じっと厳しい視線を向ける師匠。あの目が僕にも付いていたらな・・・
駈歩の斜め進行も何となくそれらしくできてきた。まだそちらへ向かってまっすぐ駈歩みたいなところもあるけど、最初としてはまあまあかな。こちらの意図を理解すればジェリーは器用だから何でもできるよ。

斜め進行ばかりやっていてまっすぐを忘れたらいけないからいつもまっすぐを間に挟んで練習する。ほかに今までやってきたいろいろな大切なこと、駈歩の静かな発進や落ち着いてじっと停まっていることなどもいつも間に挟みながら少しずつ新しいことを覚えていこうね。

そろそろ時間が終わり近くなって、小さな輪乗りで駈歩のリズムを取りながら今回のジェリーと過ごした時間の余韻を楽しんでいた。ジェリーも成長したし僕もいい勉強をしたよ。なんと言っても駈歩の手前が読めるようになったのが最大の収穫だ。これもいつも気持ちよく走ってくれるジェリーに乗り続けたおかげだね。今のところジェリー以外の馬たちとは必ずしもうまくいっていないけれど、気持ちを通じ合わせれば馬も自分も気持ちよく過ごせるということも体験できたと思うんだ。
まだまだ発展途上のジェリーと僕だけど、前途には大きな可能性が必ずあると信じる。ジェリー、連日お疲れさまだったね。僕はこのあとしばらく忙しくなるからあんまり来られない。少しゆっくり休んでね。そしてまた来た時には楽しくやろう。いろんなこと忘れないんだよ。何より僕のこと忘れちゃだめだからね。

いつもより念入りにブラシを掛けタオルで顔を拭いてやった。平らな額をごしごし擦って少し毛がムサムサになったところにいつものようにキスをした。ジェリーは僕の胸に鼻を押しつけてくる。しばらくジェリーに会えないことがこんなに寂しく感じるようになるなんて・・・

コンペの前から今日まで17日間の特別な日々が終わった。そのうちパディに来たのは11日、仕事のある時は東京へ戻り、仕事が済むとまた山荘へ戻った。ずいぶん無理なことも夢中でやってきた。無事に仕事も穴を開けずにできたから良かったが・・・いや、それどころか確かに音楽的にもいいことがたくさんあったのも事実なんだが・・・やっぱり責任ある立場であまり綱渡りは感心されないと反省もしている。体力と相談しながら、あと6年残っている定年までの間、楽しく無理なく仕事と乗馬の両立を考えたい。
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