乗馬日記
夢だった乗馬…ついに現実に!富士の山荘の直ぐ近く、Paddy Fieldに入会。


2009年2月5日、10日、16日、28日 ジェリーの日記へ

12月のコンペが僕とジェリーの新しい始まりのきっかけになって、これから一緒にお互いの技術を高めていこうと思った。ジェリーとならきっと楽しくやっていけるだろう。調教の楽しさを知ったことは大きな収穫だ。難しいけれど、それをすることで自分も成長する。

コンペに向けて頑張っていた時はとにかく夢中だったから、かなり無理もしていた。夢中になると自分の体力を気力が上回って、気が付くと身体がぼろぼろになっているということが僕にはときどきある。暮れの仕事が終わったその日から体中が痛くて熱も出し、せっかく一穂が帰ってきて家族でゆっくりできるはずの正月休みもほとんど家で静養することになった。パディにもみんなで行くはずだったが叶わなかった。『調教は体力がとてもいるんです』休み中に行くと言っていたのに行かれなかったので、高橋さんに電話で体調不良で参っていましたと伝えるとそう言われた。

1月は仕事も忙しかったが体調が戻るまでは心配だったのでパディには一度も来られなかった。ジェリーに会いたいな。僕のこと忘れてないかな、とそのことが一番気がかりだった。
2月になってやっと体調にもほぼ自信が戻ってきた。左の肩がどうも五十肩らしくて、左腕が上や後ろに動かせなくなっていた。それを庇うから体中がガチガチに凝ってしまう。まだそんな状態ではあったけれど、少し気分転換もしたかったし、何としてもジェリーに会いたかった。5日にママと一緒に休みになったので一月半振りにやってきた。

厩舎へ行くとほかの馬たちと一緒にジェリーも僕の方を見ている。ジェリー、おはよう!平らな額をごしごし擦ってから、顔を抱えて顎の辺りを撫でてやる。ジェリーは僕の胸に顔を埋めて甘えてきた。久しぶりだったね。元気にしてた?無口頭絡を着けて馬繋場へ牽いていく。ブラシを掛け鉄爪で蹄のボロとおがを掻き出す。話しかけながらこうして接しているとお互いの気持ちが近づいていくんだ。

僕が来られないでいた間も高橋さんやカオリンさんがジェリーの調子を整えていてくれた。コンペのあと、ジェリーも少しゆっくり休んだらしいね。何しろ毎日ハードにトレーニングしたからね。僕も参っちゃったけど、ジェリーだって疲れたんじゃない?でもきっと若いジェリーはすぐ元気になって、もう次の新しいことをやってみたくてうずうずしていたに違いない。

馬装を整えて馬場に牽いて行き、さっとまたがる。軽い足取りで歩き出した。
並歩も速歩も落ち着いている。駈歩の発進ももう爆発ダッシュはしない。静かに腰内をして合図を待ってからの発進をさせる。方向に対する反応もいいな。斜め進行もいいようだ。斜めをやったら必ずまっすぐも繰り返すようにしよう。蹄跡ではなく、馬場の真ん中をまっすぐ正面の目標を見据えて進める。斜めに流れないように。基本はまっすぐだからね。

少しトレイルのことも思い出してみよう。蹄跡に沿って少しバックをしてみる。左に流れる癖はまだ少しあるかな。馬場に赤いコーンが3個置いてあったから、間を通ってみたりバックで通る練習もしてみた。前方向はどんなに細かいコースコントロールも小柄なジェリーには難しくない。でもバックとなるとなかなか。向きによって落ち着かない時があって、自分の向きたい方向があるらしい。じっと静止しないで足踏みしながら向きを変えようとする。コンペの準備をしていた頃、バックでお尻をコースに入れようとした時そちらを向きたくなくて苦労したことがあった。ジェリーは僕にはわからない何かを感じているのかな。でも何でもないんだよ、ってことが解れば落ち着くんじゃないか。あわてずあまり強く矯正しないで落ち着くのを待ってやる余裕が僕にもできてきた。
手綱のコントロールはなかなか繊細なところがあって、上手にやればわずかなことでも馬にはよく伝わるんだが、こちらが下手だと馬に余計な緊張を強いることになって肝心のこちらの意志は伝わらない。写真は左方向へ斜めに進めようとしているが、右手綱を引きすぎてジェリーが右を向いている。両手綱を均等に引くというのが案外難しい。

まっすぐに進んでいる時と違って、何か体重を片側にかけたり片方の脚を使ったりした時に、自分の体の重心が偏って手が均等に手綱を操れなくなる。両方の手綱の間にまっすぐに馬の首が入っているようにすればいいのかな。自分の手の位置は気にするけれど、実際に手綱が馬の銜にどう作用しているかは感じ取れていないんだな。
ママはずいぶん久しぶりだね。コンペのあとで一鞍乗ったけど、あのときもまだ体調が良くなかったからあんまりちゃんと乗った感じがしなかったんじゃない?馴染みのリボンに乗ってゆっくり感じを取り戻したらいいね。
10日に僕は一人で来て二鞍ジェリーに乗った。特に新しいことに踏み込むことはしないでゆったり乗って楽しい時間を過ごした。高橋さんとカオリンさんはこの日、馬の管理責任者のための講習を受けに小淵沢まで出かけて行った。お客さんも少ないこの時期はパディものんびりしている。出番のない馬たちをスタッフが交互に運動させている。今年は雪が少なくて馬場のコンディションもいいから、この季節、広い馬場を独占して乗れるのはいいね。

この日お天気は良かったが、富士山は一日笠を被っていた。
16日、すばらしく空気の澄んだ一日だった。すべてのものがはっきり見える感じがする。もちろん富士山も見事な姿を誇らしげに見せている。

ママとこの日は一緒に来て、前から『一度やってみませんか』と高橋さんからも薦められていたキャンター10kmコースを走ることにした。パディの周りは農道や山道がいくらもあるから、コースはいろいろに設定できる。とにかく大方駈歩で行くというダイナミックな外乗だ。ガイドはヒサさん、馬はママがエド、僕はブルボンに乗る。

外乗は万一の危険に備えてプロテクターとヘルメットの着用をすることになっている。僕も久しぶりにヘルメットを被った。乗り始めてじきにウェスタンスタイルに変えたからヘルメットを被ったのはほんの数回だ。たまには気分を変えてブリティッシュスタイルで乗ってみようか。前の晩から着るものを考えていたけど、やっぱりいつもの格好になった。
馬場で少し慣らしをしたあと農道へ出る。下り坂や足場の悪いところ、あとは歩行者がいた時以外はだいたい駈歩で行く。馬場と違って道幅は狭いから、どこかへ向かって駆け抜けているという感じがして楽しい。景色はさほど変化があるわけではないが、それでも畑の間や山の中などで多少の起伏もものともせず進むのはなかなか豪快。約一時間の駈歩で少し腰がくたびれたが面白かった。
ひと休みしてから一鞍だけ馬場で乗ることにした。ママはファド、僕はもちろんジェリー。
28日、予定していた生徒のレッスンが二人ともキャンセルになって休日になった。それならば、とひとりでパディに来た。前回キャンターをやったあと、オーケストラは休みなく忙しい毎日だった。山口県まで行く旅の仕事もあったし、旅行から帰ってすぐワーグナーの『ラインゴールド』のリハーサルが始まった。難しい曲だから下準備も大変だった。昨日までで譜読みもできたことだし、ちょっと一息入れてもいいだろう。

今年の7月にある八ヶ岳のホースショーを目標にしてジェリーとトレーニングしたい。そんな希望も今は口にできるようになった。高橋さんも僕とジェリーのペアを注意深く見てくれている。まだまだたくさんの課題があると思う。でもその一つ一つをジェリーと一緒に克服していきたいな。これまでいろいろな馬に乗ってきたけれど、この先しばらくはジェリーが中心になる。この乗馬日記も『ジェリーの日記』になるだろう。それは僕がジェリーと一緒に成長する貴重な記録になるはずだ。
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