乗馬日記
夢だった乗馬…ついに現実に!富士の山荘の直ぐ近く、Paddy Fieldに入会。


2009年5月17〜26日 5月の合宿

今年の前半は忙しい。内容の濃い演奏会がオーケストラにも自主企画にもあって、体力も気力も維持しつつ常に先のことを気にかけていなければならない。でもやはり一つ一つの演奏が大切だから、『今』に全力で向かうことの積み重ねだと思っている。

乗馬も今年は早くから競技会を目標にしてジェリーの調整と僕自身の技術向上に力を入れている。体力を考えると、いっぺんにたくさんは無理だから時間をかけて少しずつを繰り返そうと思う。今月ちょうど自分の大きな演奏会の予定を前にまとまった休みが取れたので、山荘で集中してチェロと乗馬の練習を目的に合宿をすることにした。5月17日から26日までの間で仕事のため帰ってくる日が何日かあるが、正味6日は確保できそうだ。

5月は軽井沢のコンサートと定期があったあと、クラリネットの杉山くんのリサイタルがあってモーツァルトの五重奏曲を再演した。名曲は何度も繰り返し演奏するごとに新しい喜びがある。今回もとても楽しかった。16日にこのコンサートを終わらせてほっとしたところで翌17日、レミとヴィヴォを連れて山荘へ向かった。
もともと僕は朝型で、早起きは苦にならない。特に日の長い季節は明るくなると起きたくなるんだ。山荘にいると4時頃薄明るくなると同時に小鳥たちのさえずりが始まる。ひんやりした空気、ウグイスやカッコウの声、日の出前の空、静かな富士山の姿など、気持ちのいい雰囲気に誘われて朝の散歩に出かける。この時間はまず人に会うことはないから最初しばらくはレミとヴィヴォを放してやる。

早朝は大抵野生の動物たちも姿を見せる。鹿、兎、テンなどが遠くで様子を見ていたり、ときにはすぐそばであわてて逃げ出したりする。今年は鹿が多いみたいだな。

山荘に戻り、コーヒーを淹れて朝食。イタリア語の復習も朝の楽しみの一つ。昨年のラジオ講座のテキストを見直している。まだまだ使えるようにならないけれど、少しでもわかるようになれば楽しいな。

6時にはチェロの練習が始まる。7月に本番のあるドヴォルザークのコンチェルトは朝最初に練習するのが好きだ。とてもイメージが湧くんだ。続いてバッハ。6月3日に山口県宇部市でソロコンサートがある。1番と4番を弾く。バッハの和声を読んでみると、それほど複雑なことをしていないのにとても自然な流れがあって、ドラマティックな展開がある。すばらしい作品に接する喜びを感じるな。このコンサートで演奏する石黒くんの絃歌三章を練習する頃にはいろいろな思いが頭をめぐって身体全体も潤滑がよくなっている。楽譜出版に関わってずいぶん考えたり弾いたりしたつもりだけれど、もう今は違ったイメージで弾きたい部分も出てきた。演奏ってそんなものだと思う。

10時を過ぎる頃、練習を終えてパディに向かう。
7月18日の八ヶ岳ホースショーを目標にしている。昨年は初参加、トレイルにサンダーで、ストックシートにキャロラインで出た。いずれも競技会に慣れた馬たちに乗せてもらった。そのあと大きなスランプにはまって低迷、そこから抜け出すきっかけをくれたジェリーとの出会い、そして12月のコンペへ向けての練習とその結果見えてきたジェリーの大きな可能性が、僕の乗馬ライフをより積極的なものにしている。

ジェリーは頭がよくて何でも理解が早い。動作は器用だ。しかも性格が素直で女の子らしい様子が可愛い。ただいつも問題になるのは落ち着きがないこと。じっと止まっていられない。自分から先へ行こうとする。でもこれらのことはジェリーのいい部分の裏返しだと思う。だからもっとよくお互いの気持ちが通じれば必ず良くなると思う。焦らず繰り返しそのときどきの動作の中で必要な落ち着きを求めていくことだな。
馬場には4本のログが互い違いに枕をして平行に置かれてある。巾は並歩で3歩、速歩で2歩、駈歩で1歩の120cm。各歩様の慣らしをして少しずつログの周りを回ったり間を通ったりしてジェリーにもそこにログがあることを認識させる。初めは並歩で、次に速歩で越えてみる。このところずいぶんペースが落ち着いたと思う。それに以前に比べて頭の位置が低くなった。こちらに従う意思表示だ。ログを越える時にはしっかり下を見て注意している様子がわかる。歩数も守っている。

駈歩は4本連続は僕も初めて。でもジェリーは上手に越えていく。動きに合わせてジェリーの邪魔にならないようにしてやろう。進入する時に歩幅が合わないと速歩に落ちたり逆手前になったりする。どうしたらちょうどよく進入できるんだろう。これはジェリーが自分で見て少し前から合わせるしかないのかな。
ログを越えるのはほかに直角に2回連続して曲がるのも練習した。各歩様で練習したが、いずれも越える時はまっすぐに、越えると同時に直角に曲がる。間の歩数は並歩、速歩、駈歩のそれぞれが9歩、6歩、2歩。コース取りやタイミングが悪いと歩数が合わなかったり曲がりきれなかったりする。まっすぐ進入しながら目は次の方向を見て、越えると同時に手綱で向きを変える。

駈歩は特にスピードを上げすぎないこと。曲がる時に身体が外に振られないように、内方脚に体重をかけるようにする。きっとジェリーも曲がり易いはずだ。反応の鋭いジェリーだからこちらがいいタイミングの合図と重心移動で助けてやれば実に切れのいい動作をする。
駈歩のスピードをコントロールするには腰を使ってゆっくりのリズムを出すようにする。ジェリーがこちらのリズムを感じて合わせるようになればスピードは自由に変えられる。敏感なジェリーはきっと背中でこちらの動作を感じて、そのことの意味を直に理解するだろう。

ゴールドラッシュでの昼食を挟んで2鞍から3鞍くらいが1日のペースにはちょうどいい。必要なら河口湖まで買い物に行き、4時くらいには山荘へ戻る。夕方の散歩は空気が柔らかい。小鳥たちの声はとぎれることなく聞こえている。

風呂に入ってさっぱりとしたら、庭でビールを飲む。夕食の支度も楽しみの一つ。今回滞在中はイタリアンが多かった。オリーブオイル、ニンニク、唐辛子、レモンは必需品。肉は鶏が好きだ。野菜はレタス、ムラサキタマネギ、茄子、トマト。ほかにブラックオリーブやモツァレラチーズ、しそなどが登場した。赤ワインを飲みながら食事をする。至福のひととき。
22日の昼前、この日だけやっと休みになったママが赤いミニでやってきた。4月の始めに来て以来かな。ママは僕と違って決まった曜日に大学に出ないとならないから、なかなかまとまっては来られないね。今回も日帰りだ。

師匠がママに用意してくれたのはハンサムなサム。ジェリーを見慣れた僕にはものすごく背が高くて鐙に脚をかけるのも大変そうだな。でもママは踏み台無しでちゃんと乗れたね。

僕はママがなかなか到着しないのを待つ間に二鞍乗っちゃったから、今日はママのカメラマンになった。
駈歩のときにときどき脚が後ろへ流れることがあって、少し上体が前へ傾くことがあるね。もう少し鐙をしっかり踏んで前から横へ衝撃を逃がす感じにしたらどうかな。あと僕は脚をやや馬体に沿わせるようにしてるけど、たぶんただやじろべえみたいにしてるより安定すると思うな。タイミングは合ってるから少しのことで改善されるんじゃない?

多少うまくいかなくてもママはやっぱり乗馬が上手だと思うな。なにしろ馬が好きだよね。ママを乗せてる馬もみんな楽しそうに見えるよ。

一鞍乗った頃からにわかに雨雲が広がって小雨が降ってきた。ゴールドラッシュで様子を見ながら、この日来ていた会員の森さんと一緒にお昼を食べる。雨はだんだん本降りになってきた。今日はもう無理そうだね。

せっかくママが来たのに一鞍しか乗れなかった。でも楽しかったよね。このあと森さんにも山荘に来ていただいてお茶にした。楽しいティータイムになった。
夜になってママは赤いミニで帰っていった。夜の道は気を付けてね。ママは仕事があるからなかなかゆっくり滞在ができないね。夜中近くママから無事着いたと連絡を受けて安心して布団に入る。翌日からまたいつものマイペースの生活だ。午前中はチェロに集中。お昼頃からパディ。

ジェリーの課題はやっぱりじっとしていることだ。たとえばゲート。横へ付けるとそわそわするのはだめだよ。その場でじっと待つ。次の指示は何が来るかわからないだろ。ゲートの近くに止まったからと行ってそれを通るとは限らない。
ロープを外して中へはいるともう一本の横木がある。それを見るとジェリーはそれを越えたくなってしまう。だめ!ここで止まるんだ。横木は越えるために置いてあるとは限らないよ。

横木は越えるとは限らないということを覚えるために、いつもは越えるはずの横木を一本越えたところで止める。勝手に行こうとしたらすかさず回す。また横木に向かって止める。また越えようとしたら回す。この繰り返しでジェリーはだんだん横木の前でも止まることもあるということを認識する。
ジェリーは日に日に落ち着いたいい動作をするようになってきた。並歩や速歩のときは姿勢も良く、横木を越える時もよく足元を見るようになった。
サイドステップもまずは一歩跨いだところでじっとしていることが大切。あとは僕が前後の位置をよく見定めて誘導してやればジェリーは上手にできる。
駈歩のスピードをコントロールしながらまっすぐにログへ向かう。まだ歩幅がうまく合わないと速歩に落ちたり手前が変わってしまうことがある。でも前方にログがあってそこへ向かっているという認識があればジェリーも合わせられるんじゃないか。以前ほど直前にびっくりしたように歩調が乱れることは少なくなった。
後肢旋回は僕が重心をうまく内方脚に乗せられるようになってだんだんできてきた。
ちょっと苦手だった左回りも何とか…
後肢旋回とロールバックは共通点がある。ジェリーはまだ向きを反転させる動作がよくわかっていなくて、止まったあとすぐに向きを変えようとするとバックしてしまうこともある。でも後肢旋回と同じく内方脚に体重を乗せ自分がまず後ろを振り返るつもりですればうまく回せる。そこからすかさず駈歩に入りたいんだが、ややあわててしまって逆手前が出てしまうことが多い。それまで走ってきたのと反対の手前になるので、正確な発進をしないと前の駈歩の動作の連続になってしまう。トレイルではロールバックはないけれど、レイニングでは必要な技だし僕も好きな動きなのでジェリーにはしっかりできるようにしてやりたい。
この合宿でずいぶんジェリーはよくなった。じっと止まっていることもかなり覚えた。あとは声の合図だけで確実に止まれるようにしたい。最後の鞍で徹底してストップの練習をした。手綱を全く引かずに声だけで合図する。初めは全く無反応。すかさずバック。発進したらすぐにまた停止の合図。こまめに繰り返すことでだんだん合図の意味を理解していく。並歩ではかなりのところまでできてきた。速歩ではまだあまり明確ではない。駈歩を少しさせたらもう合図は忘れたようだ。まだ時間がかかりそうだな。

6月は忙しくてほとんど来られそうもない。だけど7月はかなり集中できそうだ。競技会も目前になるが、きっとほかの会員さんも練習に来るだろうし、気合いが入るな。ジェリー、一緒に頑張ろうな。
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