乗馬日記
夢だった乗馬…ついに現実に!富士の山荘の直ぐ近く、Paddy Fieldに入会。


2010年5月12、13日 半年ぶり!?

暮れからずっと忙しくて4月まではとても山荘に来るどころではなかった。それに春になっても寒い日の多かった今年は何としても来ようという気になれなかった。やっぱり年齢相応に寒さが身に応えるようになったなぁ。5月になってようやく少し暇ができ、季候もいいし、久しぶりに行きたいと思った。ちょうど義弟も二日間だけなら一緒に行かれるというので、9日から10日にかけて『男の休日』を過ごそうということになった。もちろんヴィヴォも一緒に行くよな。
この季節には意外に来ることが少なかったのかな。庭のミツバツツジやレンギョウがもう盛りは過ぎてるけどまだ残っていた。富士桜も可憐な花をまだ残している。そこここにスミレが咲き、姉が植えた水仙も大きな花を咲かせていたが、こんなきれいな季節に来ないのはもったいなかったな。
一足先に着いていた義弟が『男の手料理』を作って待っていてくれた。盛大に飲み食いした二日間だった。男だけだと量も味も豪快になる。ちょっと胃がもたれ気味だが満足できた。義弟が帰ったあとまだ数日休みなのでパディに行こうと思ったけど、ちょうどその夕方から翌日は雨になった。ま、いいや。休み明けは定期だから練習もしなきゃ。雨の降りしきる景色を見ながらの練習も悪くない。12日は雨上がりの気持ちのいい朝だった。まだ少し不安定で時折雷鳴が聞こえるけど、青空がきれいだ。午前中練習をして、昼からパディへ。
パディにしばらく来なかった間に師匠の高橋さんとカオリンさんの二人が退職した。僕がここまでになったのは師匠のおかげだし、何かと励ましてくれたカオリンさんまで揃っていなくなったのは少なからず寂しいけど、あとをヒサさん始めスタッフがしっかり守っているし新しいスタッフも加わった。何と言っても社長の千尋さんの明るい表情には救われる。今週はアメリカからトレーナーとしてティムさんが来ていて、会員はレッスンが受けられる。バーニーの尾中さん夫妻、BJの小倉さん、カメラマンの深芳さん、望月さん夫妻ほか大勢が見えてにぎやかだった。久しぶりの僕のためにヒサさんがジェリーを丸馬場で走らせてくれた。
ティムさんはロサンゼルス近郊にクラブを持ち、昨年から千尋さんの招きで2〜3ヶ月に一度トレーナーとしてパディに来てくれるようになったとか。20年くらい前に前オーナーの賢さんがパディを始めるとき最初の馬を買い付けに行ったのがティムさんのクラブだった。そうとは知らずに紹介されてティムさんのところを訪れた千尋さんはびっくり。不思議な縁だな。

馬場の中央に立ち、会員のレッスンをするティムさんと千尋さん。
久しぶりにジェリーに一鞍乗ってから、ゴールドラッシュでお昼を食べ、午後ほかの会員さんのレッスンに続いて僕もレッスンを受けた。一時間の間に的確な指示がいくつも得られてよかった。山荘に戻ったら忘れないように復習しよう。

日が傾き始めた頃、千尋さんやスタッフがお客の引き上げた馬場に出てティムさんの指示を受ける。するどいティムさんの目がそれぞれに必要なことを見抜いて、わずかな言葉でわかりやすくリードしていく。

時間の流れがそれまでよりゆっくり進んでいくような、遅い午後の時間帯のパディが好きだ。
翌朝の富士山。

山荘に来ているときはつい早起きになる。早朝4時を過ぎ、やや明るくなり始めた頃、小鳥が鳴き始める。誰かが最初に声を上げると次々にいろいろな鳥たちが鳴き始める。街の中よりもよく響く。その声をしばらく布団の中で聴いているとたまらなく外へ飛び出して行きたくなる。

ヴィヴォを連れて散歩に出る。さぁ、今日の始まりだ。
今日はもう東京へ帰るので、山荘の片づけをして帰り支度をして早めにパディに行くことにした。

まだ雪をいただいた南アルプスの峰峰と空を映した本栖湖。こんなにはっきり見えるのも珍しい。
昨日は大勢の会員さんが来ていてにぎやかだったパディも、今朝は割合すいている。時間が早いせいもあるかな。よくお見かけする方がひとり広々とした馬場を駆け回っておられた。昨日久しぶりに乗ったせいで身体のあちこちが痛い。ヒサさんが『黒川さん、今日もジェリーに乗りますか?すぐ用意しますか?』いや、もう少ししてからにするよ。まだ身体が馴染んでない…以前はこんなことなかったな、乗りたくて少しの時間も待てなかった。

しばらくスタッフが馬をまわしているのをぼんやり眺めていた。そういえば千尋さんやティムさんの姿が見えないなぁ。あ、いたいた、犬の散歩から帰ってきた。おはようございまーす!走っていってしばらく立ち話。彼は僕の音楽家としての仕事に興味があるみたい。いろいろ質問してきた。『オーケストラはいつまで弾くの?そのあとは?』うーん、定年まであと4年半だけど、そのあとは少し好きなこともやりたいし、もちろん馬にももっと乗りたい。『僕が作ったブルーベリーパンケーキ食べる?』わお!もちろん。それでゴールドラッシュに行って彼が厨房に入りサービスしてくれた。千尋さんと馴染みのアキラさんも一緒に。『ピットでオペラを弾くって言ったけど、ステージでシンフォニーを弾くのとどっちが好き?』僕はオペラが好きだな。『でも、ピットだとステージの歌手のために弾いてお客の拍手はそっちに行くんじゃないの?』いや、オペラは総合芸術だからね、オーケストラも充分に活躍してるし拍手も受けてるんだよ。『ステージの上で直接拍手される方がいいんじゃない?』これはちょっと説明しづらいね、好きな者にしかわからないかも知れない。歌手と一体になる瞬間の喜びみたいなものかなぁ。とにかくオペラっていうものが好きなんだよね。どこで拍手を受けるかはあまり問題じゃない。でもやっぱりティムさんはホースショーで喝采を浴びるのに慣れてるのかな?

ゆっくりしちゃった。ごちそうさま。今日は一鞍だけ、昨日のティムさんのレッスンの復習をしよう。そう決めてジェリーの厩舎に行く。
昨日のレッスンではいくつかのポイントがあった。

脚の位置。ファーストポジションはまっすぐ下に下げた通常の位置。セカンドポジションはそれよりわずかに後ろ。これは駈歩のときどちらの手前にするかを知らせる合図(腰内と習ってきたこと)のときに使う。サードポジションはもっと大きく後ろに脚を持っていくことで、馬体にダメージを与えるから使わない。

駈歩をスタートするときはセカンドポジションで手前を知らせ、舌鼓でスタート(彼はこれを『お願いします』と表現した)させる。ゆっくり動作すること、脚は確実に馬が動作するまで動かさない。

馬が前進しているとき、馬は行く方向を見なければいけない。ジェリーは気を散らしてときどきそっぽを見ることがある。ある方向に円を描いているなら、内側の馬の目がまっすぐに乗っていてもわずかに見えるくらい内側を向かせなければいけない。そうなるように手綱を引いてコントロールするが、大事なのは引きっぱなしにしないこと。首の向きを直すためにはくっくっと引いては緩めることを繰り返す。馬が自主的にその向きにすることを覚えるのが目的。
駈歩から止まるのに『ウォー』と声をかけるが、ジェリーは減速、ステップダウンを経て止まるまで数歩、数mかかる。これはだめ。『ウォー』と言ったらすぐ止まるように教えなければいけない。これは以前からの課題。止まらなかったら、バックをさせる。これはストップとバックが同じ姿勢になるから。つまり後ろの脚が内側に入る感じ。もちろんこのことも師匠からさんざん習った。でも新しかったのは、その際に2歩に1回ずつ『ウォー』を言うこと。そしてオーバーランした距離の倍をバックさせる。そのあと少なくとも30秒はじっとして、それをさせられたことの意味を馬が考える時間を与えること。そうそう、バックのときも手綱はゆっくり引くように言われたな。
3mほどのサークルを回る。進む方向を見させるということはこの場合さらに内側を向かせることになるから、手綱をやや強めにくっくっと引いては戻す。

馬は繰り返し同じ場所を回っているとときどきショートカットすることがある。馬がサークルの内側へ入ろうとしたら、外方脚をセカンドポジションにして内方脚は馬体からやや離し、内側の手綱を横に引いてスピンをさせる。これは一回りしてもとのサークルに戻すため。内方脚を馬体から離すのは、ドアを開けて馬がそこから部屋に入っていくようなイメージ。手綱は後ろへ引かないこと。スピンをしようとする馬の前肢が交差せずにぶつかってしまう。回転しようとする内側の前肢の前を外側の前肢が交差(この写真のように)しなければいけない。

駈歩にせよサークルやスピンにせよ、必ず両方向練習すること。馬にも右利きや左利きがあって、得意な方向とそうでない方向がある。

これまでに師匠から教わってきたことが基礎としてあったからよく理解できたと思う。

ティムさんは、『たとえば生徒にレッスンをするときに生徒が恐怖感を覚えるようなやり方では生徒の力を引き出すことはできないだろう。生徒が理解して、安心して持っているものを最大限に出せるように教えるんじゃないか。馬も同じだよ』そのとおりだと思う。僕たちの何倍もの力を持った馬が恐怖のためとんでもない行動をしたら、僕たちはひとたまりもないんだ。馬が安心して従順な態度でいてくれることが必要だよね。馬を動かすのは馬自身、馬の頭に働きかけてこちらの思うように動いて貰うんだ。
まだジェリーにはできないことが多いけど、僕も同じ。一緒に成長したいな。気持ちよく馬場を走らせて今日は終わりにしよう。

これまでで一番長いブランクだったけれど、基本は忘れていなかった。またちょくちょく来よう。今度はママも一緒に来られるかな。
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