呼吸器ユーザーのためのチャリティーコンサート
2013年4月14日 市ヶ谷ホテルグランドヒル


呼吸器ユーザーという言葉も耳に馴染みがなかった。そういう方々がどんな生活を送っておられるのかを考えたこともなかった。呼吸をするという僕たちが考えることなくしていること、でもそれをしなければ生きていられないことを、機械と介護の人の手を借りなければできない状況の方々がいる…

呼吸器という機械は音がするため、ユーザーはコンサートホールに入ることが制限される。実際トラブルも起きることがある。そんなとき折れるのはいつもユーザーの側だ。圧倒的少数の弱者としてその場を去るしかなかった。
この方々に音楽を楽しむ、それもコンサートに出かけて行く楽しみを作ろうという企画をした人たちがいる。そして演奏の依頼が僕のところに来た。

事前の打ち合わせでこの企画に対する期待の大きさを感じていた。機会が滅多にないので、この一回のコンサートは星の数ほどもあるコンサートから選んでいくらでも聴きに行くことのできるものとは重みが違う。それだけに演奏者と聴き手の双方に真剣勝負の覚悟があったかも知れない。

でも会場には明るい雰囲気が満ちていた。僕たちは暖かい拍手に迎えられて演奏に向かう。
モーツァルト ピアノ四重奏曲 変ホ長調 K.493
シューベルト 即興曲 変ト長調 D.899
シモネッティ マドリガル
山田耕筰 からたちの花
ラフマニノフ ヴォカリース
シューマン ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47

黒川文子 石橋エドアルド和彦 曽和万里子 黒川正三

医療の発達で人の命を延ばすことができるようになった。一生懸命に日々を送る中で、音楽を聴くこと、コンサートに華やかな気持ちで出かけることが楽しみのひとつならばその機会を大切にしたい。ひとつのコンサートを心待ちにしてくれた方々が全身で音楽を受け止め、体に、心に音楽が浸透していくのを強く感じたコンサート。
このたくさんの笑顔がほんとに僕たちの心を温かくしてくれた。

企画はまだ始まったばかり。乗り越えなければならない困難がたくさんあるけれど、この笑顔を僕たちは忘れない。呼吸器ユーザーの方々が同じ社会の一員であることを自他共に認められる社会になることを目指して、このコンサートの企画に参加していきたいと思う。

企画された岡部さんと共に(前列真ん中)。
MY FAMILY &
PHILHARMONIEKAMMERENSEMBLE