フィルハーモニーカンマーアンサンブルコンサート2008inオペラシティ

1月31日(水) 7時開演 東京オペラシティ リサイタルホール


撮影;姫崎由美

第4回となったオペラシティの定期公演は、お馴染みのお客様のお顔もかなり見え、会場もとても和やかな雰囲気でした。今回は音楽の密度の濃い弦楽四重奏とクラリネットの協演、すべてモーツァルトの名曲ばかりで、我々にとっても楽しみなコンサートでした。
リハーサルでは会場の響きを確認することが大切で、狭い部屋とは違う間の取り方やバランスを試さなければなりません。今回は初めて配置を縦長にしてみました。ここのホールは本来縦長で使用する設計になっていますが、我々のコンサートでは第1回目から横長で演奏してきました。これはお客様との距離を考慮してのことだったのですが、音響の点を重視すればやはり縦長の方が良いようです。昨年5月にクラリネットの杉山くんがこのホールでリサイタルをしたとき、私も認識を改めました。縦長だと最後列はずいぶん遠いのではないかと思いましたが、意外に近く感じられたことと、反対に横長だと脇の方の席はかなり斜めに見ることになるので必ずしも良いとは言えないかと。

さて今回演奏した弦楽四重奏曲は、モーツァルトの中でも最も有名なハイドンセットと呼ばれるものの2曲でした。そしてさらにその中で私が最も精神性が高く深いと感じるK465の『不協和音』とK421のd−mollを選びました。練習を重ねていくとその思いは深まるばかり。思い入れが強くなると、自分の主張にメンバー全員が納得してくれるとは限りません。全員の自主的で積極的な参加を求めつつ、私と一緒に感じるものもあって欲しい・・・アンサンブルは次第に熱を帯びてきます。会場での最後のリハーサルでもまだ熱いやりとりが続いていました。
気心の知れた仲間同士ですが、それぞれが違った感性を持っているのは当然です。お互いの考えを認め合い、自分との接点を探します。また自分の中にあって気づかない部分を掘り出される思いがすることもあります。アンサンブルはお互いを高め合うすばらしい機会です。
自分のパートとほかのパートがどう関係しているのか。ときに対話的であり、ときにともに和声を構成します。バランスは常に大切な要素であり、全体の進む方向も考えます。でも一番大切にしたいのは感動をともにできること。たとえばある転調が深い感動を伴うとき、それを一緒に感じられた瞬間は至福の時です。
モーツァルトの珠玉の2曲が次第に我々の共通の喜びとなって心に満たされていく気がします。
本番まであと数時間となった緊張感の高まりの中で、熱の入った練習がようやく一段落。確かな手応えを得て一息入れます。
弦楽四重奏になにか一つ楽器が加わるとずいぶん気分が変わるものです。それはみんなに共通の親しい仲間を迎え入れる喜びのようなものです。とくに杉山くんのような仲間がその人柄そのものの暖かい音色で加わってくれることは、カルテットにとってこの上ない喜びです。
モーツァルトの室内楽作品の中でも特にすばらしいクラリネット五重奏曲は、杉山くんの暖かい音色と深い歌心に最もあった一曲かも知れません。
6時半、開場しました。
7時、さぁ開演です。

本日はようこそおいでくださいました。今宵は前半にモーツァルトの弦楽四重奏曲から、特にすばらしい2曲を演奏いたします。

弦楽四重奏は室内楽の中でも純度の高い、専門性の問われるジャンルといっても良いかも知れません。それは歴史上に名を残したすばらしいプロの弦楽四重奏団の名演奏からも伺えます。個性は様々ですが、それら限られた名カルテットにのみ可能な至高のアンサンブル世界があるのです。我々はこの難しいジャンルに敢えて挑戦し、ここにしかない幸福を得んために演奏したいと思います。
モーツァルト

弦楽四重奏曲 ハ長調 K465
 『不協和音』


1Vn 宮川正雪
2Vn 松川裕子
Va  曽和万里子
Vc  黒川正三
モーツァルト

弦楽四重奏曲 ニ短調 K421
休憩

ロビーにはいつものようにこれまでのコンサートの写真を展示しました。皆さんに興味を持っていただけるとうれしいです。

さぁ後半は同じモーツァルトの晩年の名曲、クラリネット五重奏曲です。お席へお戻りください。
モーツァルト
クラリネット五重奏曲 イ長調 K581


クラリネット 杉山伸
すばらしくいい気分で演奏できたと思います。曲もすばらしかった。仲間もすばらしかった。今最高の気分です。
お客様も、会場の雰囲気もすばらしかったと思います。我々のコンサートの形が確かに見えてきたように思えて、うれしい一夜でした。
MY FAMILY &
PHILHARMONIEKAMMERENSEMBLE