フィルハーモニーカンマーアンサンブルコンサート in オペラシティ
2010 August
8月26日(木) 7時開演 東京オペラシティ リサイタルホール
フィルハーモニーカンマーアンサンブルのオペラシティ定期に新しいシリーズを加えました。室内楽と声楽アンサンブルによる宗教曲を取り上げていきます。この企画は幸福な出会いがきっかけになりました。今年の5月8日に旗揚げ公演を行った合唱団ノヴァ・ヴォーチェの指揮者がカウンターテナーの青木洋也さんで、合唱団の公演で協演したのは東京フィルでした。曲目はブラームスのドイツレクイエム。実はこの協演の話は最初フィルハーモニーカンマーアンサンブルに来たのです。でもこの曲は編成上我々には大きすぎました。そこで親船の東京フィルに依頼したのですが、できるだけ我々の仲間が出演することでせっかくフィルハーモニーカンマーアンサンブルに声を掛けてくださったノヴァ・ヴォーチェに応えようと思いました。公演は大成功でした。さて、この公演準備の話を最初に青木さんとしたときに、我々でもコンサートをしたいですねという話になったのはごく自然な流れでした。このときはまだお互いに距離があり、実際何ができるのかはまだ見えませんでしたが、ただ彼も私も自分で企画をして自分たち独自のカラーを出せるコンサートをしようと思う点で共通していました。きっといいものができる!そんな予感がありました。 | |
青木さんと話を進め、曲目が決まり、メンバーが決まりました。 数回のリハーサルと8月半ばの富士山荘コンサートとクラブハウスコンサートを経ていよいよオペラシティの本番を明後日に控えた大詰めの練習のあと、急に思い立って前祝いのパーティをしました。そして本番前日は最終チェックで歌の4人と通奏低音のみが集まりました。 いつもコンサートの準備は楽しくもあり、いよいよその日を迎えるときはうれしいものです。でも今回ほどその気持ちをはっきり強く感じたことはありません。いい仲間がいっぺんにこんなに増えた、それが何よりうれしかったんです。 |
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当日、すっかり馴染みになったオペラシティリサイタルホールの響きの中で、最初に弦楽五重奏曲のリハーサルが始まりました。今回新たに仲間に加わったセカンドヴァイオリンの黒田玲ちゃんは、我々の中に飛び込んで溌剌と気持ちのいい演奏をしてくれます。![]() |
このところ毎回本番当日に届く特別なドリンクです。いつもすてきなチラシのデザインをしてくださっているデザイナーの中村美香さんからの心のこもったプレゼントです。 | ![]() |
会場練習で大切なのは、そこでの響きをよく知ることです。しかも今回のような編成の場合はお互いの位置関係がとても影響します。我々同士のコンタクトが取りやすいことと、客席から見てバランスよく配置されるようにいろいろ試してみます。最終的にバッハはこの配置、モーツァルトは通奏低音を挟んで弦が左、歌が右ということになりました。 | ![]() |
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リハーサルが済み、ひと休みしている間に時間をいくらか早めて開場しました。今回は早くからチケットの売れ行きがよく、当日にはすでに売り切れの状態でした。ロビーには長い行列が開場前からできてしまったので10分ほど早くお入りいただいたのですが、あっという間に席が埋まり、空きを捜すお客様も当惑気味でした。お客様にはご迷惑をおかけしましたが、こちらにとってはうれしいことでした。本当に大勢のご来場に感謝です。 |
いよいよ本番が始まりました。 皆さま今夜はようこそお出でくださいました。フィルハーモニーカンマーアンサンブルの新しいシリーズ、どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。 西洋音楽の精神的原点とも言うべきキリスト教の音楽作品を取り上げていきます。第1回はモーツァルトのミサブレヴィスK.49とバッハの復活祭カンタータです。そして間にモーツァルトの初期の弦楽五重奏曲を演奏いたします。 |
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モーツァルト ミサブレヴィス K.49 ミサ曲はすばらしい4人の歌声と5人の器楽のアンサンブルで始まりました。最初の音の出た瞬間から会場全体にこれまでにないほどのほっとしたような空気が満たされました。 右手前から 藤崎美苗 青木洋也 畑儀文 篠部信宏 左から 宮川正雪 黒田玲 曽和万里子 黒川正三 黒川文子 |
モーツァルト 弦楽五重奏曲 変ロ長調 K.174 第1ヴァイオリンと第1ヴィオラがコンチェルタンテのように歌い競う間に第2の二人も合いの手を入れたり、ときには表に出てすてきな旋律を歌います。真ん中で左右を見渡しながら弾くチェロは楽しいですよ。弦楽五重奏は名曲がたくさんあって、これからも取り上げていきたいと思っています。 右端 中村洋乃理 ![]() |
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休憩のあと、今回の企画を一緒に進めた青木洋也さんとショートトーク。 いろいろと趣味も合いそうなので、これから楽しく一緒にやっていけそうですね。 後ろ姿は我々の話の間もオルガンの調整に余念がない制作者の木村秀樹さん。 |
後半は全員がステージ上に揃います。バッハの復活祭のためのカンタータは、ルターのコラールを元に変奏曲の形でできています。歌詞が語るドラマと音楽の表現が一体となって、きわめて劇的な作品です。 | |
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本日ご来場いただきました大勢のお客様、本当にありがとうございました。 演奏しつつも全員が作品のすばらしさを体感できたコンサートでした。すばらしい芸術が生み出される精神的土壌の肥沃さを思います。 本来の編成より遙かに小さくした我々独自の演奏スタイルはどのように響きましたでしょうか?これからも我々は宗教音楽をこのような形で演奏していきたいと考えています。次の構想は早くも頭の中で芽生えています。来年の夏、どうぞお楽しみに。 『声楽と室内楽』次回は2011年8月2日です。 その前に2011年1月17日は弦楽六重奏でブラームスの第2番とシェーンベルクの『浄夜』があります。 2011年4月21日はシューベルト、『死と乙女』と『鱒』です。 いずれもオペラシティリサイタルホール、7時開演です。 合わせてお楽しみ頂けましたら幸いです。 なお、2010年8月26日の公演はライヴCDになりました。 |
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